『最速でお酒の酒類を覚えるためのファーストステップ』では、酒類の製法が、大きく3つに分類されていたことがご理解できたと思います。復習しますと醸造酒、蒸留酒、混成酒になりますよね。
そしてそれぞれの原料や製造方法がなんとなくですがご理解できたと思います。
そこで、次はさらに製法から成分、そして成分を含むカテゴリーと原料を整理し、最後にお酒の酒類と紐付けてみようと考えています。
世界中のお酒から見て、醸造酒、蒸留酒、混成酒には、どんなお酒の種類があてはまっていくのでしょうか。下記のイラストを見てもらうと一目瞭然です。
酒類の製造方法及び原料のダイアグラム
(出典:著者作成)
混成酒は、製造方法が、醸造酒や蒸溜酒と他の原料などを混ぜたものになるので、成分や種類を4つの混ぜる原料によってまとめています。
醸造酒の製造方法や原料による分類
醸造酒の日本酒、ビール、ワインはすでにイメージが膨らんでいると思いますが、韓国のマッコリや中国の老酒も醸造酒の一種となります。米や小麦、穀物といった原料のデンプンからアルコールが生まれているのです。
次の糖類の中には、ワインであるブドウ、そして蜂蜜からミード(蜂蜜酒)というお酒ができることがわかります。英語表記で書くと「mead」です。
ミードとは東欧が主体で、水と蜂蜜を混ぜて置いておくと自然にできるお酒のことです。青銅器時代には、蜂蜜の消費が確認されているところから、その当時には、すでにミードがあったと推測されます。
また、図表には記載していませんが、モンゴルの馬からとれる馬乳酒(ばにゅうしゅ)もあります。これは馬乳に含まれる乳糖が酵母によって醗酵したもので、微発泡のアルコール度1%程度の低アルコールのお酒になります。
蒸留酒の製造方法や原料による分類
蒸留酒も醸造酒と同様、主にデンプンと糖類からお酒が造られていることがわかりますね。
- お馴染みのウイスキーは大麦、ライ麦、小麦、とうもろこしなど造られています。
- ジンは大麦、ライ麦などの穀物から造られています。
- ウオッカは大麦、小麦、ライ麦、ジャガイモなどが原料となります。
- 焼酎や泡盛は米、麦、芋、栗。黒糖などが主な原料となります。
- 中国の白酒(パイジョウ)は、トウモロコシ、コーリャン、ジャガイモ、サツマイモなどが主原料となります。
- 蒸留酒の糖類の原料としては、果実からできるブランデーが有名です。コニャックやアルマニャックとは、ブランデーの1種で、それぞれ地方名が商品となっています。
- ブドウの絞りカスを発酵させたフランスではマール。イタリアではグラッパが有名ですよね。
- リンゴを主原料として少量の西洋梨を原料としたカルヴァドスはフランスのノルマンディ地方で造られるアップル・ブランデーのことです。
- 糖蜜からはサトウキビからできるラム、ウォッカがあります。
- ブラジルでもサトウキビからカシャーサ(ピンガ)が造られています。
- メキシコのテキーラはアガベ(竜舌蘭)が原料で造られています。
- 日本で馴染みが少ないかもしれませんが、中近東や北アフリカのアラックはナツメヤシから造られるお酒です。
混成酒の製造方法や原料による分類
混成酒は、原料の薬草や果実やナッツなど大きなククリとして4つのカテゴリーに分けています。その製法には醸造酒や蒸留酒を使い下記のような原料を混ぜて混成酒ができているのです。
2.果実系リキュールはオレンジ、レモン、黒スグリ、木いちご、サクランボ、桃、梅などを
3.ナッツ・種子・核系リキュールはコーヒー、カカオ豆、アンズの核
4.その他原料リキュールでは卵黄、クリームカカオ、チョコレートなど
最後に上記以外での製法等で分類できないものもあります。
例えば酒税法でいえば、みりん、甘味果実酒、合成清酒があります。
まとめ
ここでは、まとめが図の整理だと考えています。
何度もこの図で確認してもらうと、よりお酒の種類を製法と原料、そして日本酒やビール、ワイン、焼酎といった品目に紐づくものと思います。
あきらめずに、色々なお酒で、この図に当てはめてもらうことが近道となりますのでもう一息頑張りましょう。
次回のサードステップでは、日本の酒税法から見たアルコールの種類を確認しようと考えております。
というのも、先程も触れましたが、製法や原料から見た分類と酒税法から見た分類では、収まりきらないお酒も最近では、目にすることが実はあるのです。それだけ多様化してきたということですね。
見た目はビールだけど、酒税法上は醸造酒ではない。など結構ややこしく感じてしまいます。これは企業の研究の賜物なので、それも踏まえて、お酒の種類を見ていくとより楽しくなりますよね。
今回までは、製法や原料から見た分類でした。次回は酒税法から見た分類になります。
頭の中がスッキリとすると思いますので、ご期待ください。